脱臼

関節は本来、関節包や靭帯、筋肉などでその位置を保持していますが、強い外力が加わって保持限界を超えると、関節の位置関係を脱することになります。

関節が外れる

 すべてのスポーツにおいて関節は、あらゆる動作の基盤となり大きな役割を果たしています。脱臼とは、その関節が外れる現象で、こうなってしまうと全ての動きが困難となってしまうスポーツ障害です。また脱臼は再発が多い疾患といえます。脱臼した関節は、それと連動して、支え役の靭帯に炎症や断裂を伴うことがあり、これが再発の多い要因となるようです。
 関節は通常、凸部と凹部で構成されており、一度脱臼を起こすと関節が抜けたときの影響で凹部が広がってしまい、凸部を元通りの位置に戻しても余分な広がりが残ります。結果的に、関節がルーズな状態になり脱臼が再発してしまいます。これを「ルーズジョイント」と呼び、脱臼だけではなく、捻挫でも同様の後遺症です。もちろんルーズジョイントになると、靭帯にも影響があり、ちょっとした負荷でも靭帯損傷になる可能性が高まります。早急に整形外科での適切な処置が必要です。
 他にも、顎関節が外れる人もいます。慣れると自分でも嵌めることができますが、嵌った瞬間に、バネ式のネズミ捕りの様に、急激に口が閉じ、歯を傷めてしまったり、指を挟んでしまうと大惨事です。いつものことでも十分注意が必要です。
 また、小さな子供の場合、親から手を引っ張られることによって、肘が外れてしまうことがよくあります。これを肘内障といいます
(図1.)。2~3歳で起こりやすく、厳密には輪状に固定している靭帯から腕の骨が抜けてしまう症状です。子供の手を急激に引っ張る動作には、大人側が注意をしなくてはなりません。戻すのは比較的簡単ですが、これもクセになる子供がいます。実際に、カルタ遊びで腕を伸ばして床を叩く動作で肘が抜けてしまったお子さんもおります。

図1. 肘内障(子供の肘の脱臼)