スポーツをする子供の腰痛に多く見られるのが腰椎分離症(図1.)です。ボディコンタクトのあるスポーツや、体幹の捻転を伴う競技などで、腰に大きな負荷がかかり、生じてしまった一種の疲労骨折です。おおよそ、中学生以上の年齢でおこります。分離症は、腰椎(背骨の腰の部分)に生じることが多く、酷くなると座骨神経などの症状を併発します。しかしながら、レントゲン像で腰椎分離が発見されても、無症状のかたも多く、症状の強さを画像で判断できないことが難点です。
好発部位は第5腰椎で、腰の痛みを感じないまま成人になることもあり、大人になって、分離症が原因で、慢性腰痛や腰椎すべり症となり、腰痛の症状が現れることもあります。脊椎分離症になるリスクは、運動をしない子供の場合は3%といわれており、それと比べて運動をする子供の場合は小・中学生で約3倍、高校生になると5倍にもなります。
図1. 腰椎分離を起こす部位
腰椎分離症の他にも、腰椎すべり症というものがあります。腰椎は前に湾曲した構造をとっていますが、この腰椎分離部分が前に行く力に対し、ストッパーの様な役割もしています。ここが分離を起こすことで、ストッパーが掛からずに、腰椎が前に滑ってしまう現象を腰椎すべり症と言います。また、先天的に分離がなくても滑ってしまう人もいますので、いずれにしても整形外科において、正確な診断が求められます(重度な場合は外科的方法も選択肢になる)。
多くの場合、お尻にかけて痛みや痺れが併発し、重度でなければ日によって痺れが軽減したりします。腰椎は、周囲の筋肉によって固定されているため、分離したから必ず滑るというわけではありません。しかしながら、腰を反らす様な運動は、滑る方向に負荷を掛けてしまうため、できるだけ避けた方が良いでしょう。